公営住宅の家賃はどう決まる?算定式・収入基準の早見表

公営住宅(市営・県営・都営住宅)の毎月の家賃は、公営住宅法施行令第2条により、 全国共通の算定式で決まります。ここでは算定式の各要素と、入居に関わる収入基準を早見表で解説します。

家賃の算定式

家賃 = 家賃算定基礎額 × 市町村立地係数 × 規模係数 × 経過年数係数 × 利便性係数

ただし、この式で計算した金額が近傍同種の住宅の家賃(市場家賃に相当する上限額)を超える場合は、近傍同種の住宅の家賃が適用されます。

① 家賃算定基礎額(収入分位ごと)

入居者世帯の政令月収(年間収入から各種控除を行った額を12で除した額)に応じて、収入分位Ⅰ〜Ⅷの8区分に分かれ、 区分ごとに家賃算定基礎額が決まります(全国共通・公営住宅法施行令第2条第2項)。

収入分位政令月収家賃算定基礎額
収入分位1(〜10.0%) 104,000円以下 34,400円
収入分位2(10.0%〜15.0%) 123,000円以下 39,700円
収入分位3(15.0%〜20.0%) 139,000円以下 45,400円
収入分位4(20.0%〜25.0%) 158,000円以下 51,200円
収入分位5(25.0%〜32.5%) 186,000円以下 58,500円
収入分位6(32.5%〜40.0%) 214,000円以下 67,500円
収入分位7(40.0%〜50.0%) 259,000円以下 79,000円
収入分位8(50.0%〜) 259,000円超 91,100円

※ 収入分位8(政令月収259,000円超)は、入居収入基準の政令上限(裁量階層259,000円)を超えた 入居後の収入超過者・高額所得者にも関わる区分であり、この場合は下記「収入超過者/高額所得者の基準額」の 割増家賃が適用されるため、当サイトの家賃かんたん計算機では算定対象外(エラー)としています。

② 市町村立地係数

公示価格等の土地の価格を勘案して、0.7以上1.6以下の範囲で市町村ごとに国土交通大臣が定める数値です。 地価が高い都市部ほど係数が高くなります。全国663市区町村の係数一覧は市町村立地係数ランキング、 都道府県別の一覧は各都道府県ページで確認できます。

③ 規模係数

規模係数 = 床面積(㎡) ÷ 65。床面積が広いほど係数が大きくなり、家賃が高くなります。 端数は小数点第5位以下を切り捨てます。

④ 経過年数係数

建設時からの経過年数に応じて1以下で国土交通大臣が構造・地域区分ごとに定める数値です(平成8年建設省告示第1783号)。 地域区分は「既成市街地等」(首都圏の既成市街地・近畿圏の既成都市区域等)と「一般地域」(それ以外)の2区分があり、 率が異なるため、計算機では地域区分もあわせて選択します。端数は規模係数と同様、小数点第5位以下を切り捨てます。

構造既成市街地等一般地域
耐火構造(RC造・鉄骨造など) 1 − 0.001 × 経過年数(年) 1 − 0.0039 × 経過年数(年)
木造 1 − 0.0051 × 経過年数(年) 1 − 0.0087 × 経過年数(年)

※ 実際の率は事業主体・住宅の管理開始時期により異なる場合があります。特に2004年(平成16年)10月以前から 管理されている住宅には別の経過措置の率が適用される場合があり、当サイトの計算機・早見表はこの経過措置を反映していません。 正確な数値は入居を希望する事業主体にご確認ください。

⑤ 利便性係数

事業主体が、公営住宅の立地・設備等の利便性を勘案して0.5以上1.3以下(市町村立地係数によってはさらに上限が下がる場合あり)の範囲で個別に定める数値です。 物件ごとに異なるため、当サイトの計算機では基準値1.0(中間的な水準)を用いた概算とします。

近傍同種家賃による上限・収入超過者/高額所得者の割増家賃

公営住宅法施行令第2条第1項では、①〜⑤の式で計算した金額が「近傍同種の住宅の家賃の額」(周辺の民間家賃相場に相当する上限額)を 超える場合は、近傍同種の住宅の家賃の額が適用されると定められています。近傍同種家賃の具体的な金額は住宅・地域ごとに事業主体が 個別に算定するため、当サイトでは金額を示せません。同様に、施行令第8条により、入居後に収入が入居収入基準を超えた「収入超過者」、 施行令第9条により基準をさらに超えた「高額所得者」には、①〜⑤の通常の算定式ではなく近傍同種家賃を勘案した割増家賃が適用されます。 当サイトの家賃かんたん計算機の計算結果は、これらの上限・割増を反映していない概算です。

入居収入基準・収入超過者/高額所得者の基準額

入居収入基準は、政令が定める上限の範囲内で、各事業主体(都道府県・市区町村等)が条例で定めます。 そのため基準額は全国共通ではなく、事業主体により異なります。以下は政令上の上限額と、多くの自治体で採用されている運用値の目安です。

区分政令上の上限額運用値の目安備考
入居収入基準(本来階層)158,000円以下158,000円以下原則的な入居基準。施行令第6条第2項第1号ロ
入居収入基準(裁量階層)259,000円以下214,000円以下高齢者・障害者世帯等の特例。施行令第6条第1項第1号
収入超過者の基準259,000円超-入居後3年以上経過しこの基準(裁量階層の政令上限)を超えると明け渡し努力義務。施行令第8条
高額所得者の基準313,000円超-入居後5年以上・最近2年間継続してこの基準を超えると明け渡し請求の対象。施行令第9条

これらは入居資格・家賃割増の基準です。当サイトの家賃かんたん計算機は、 政令月収が収入超過者の基準(259,000円)を超える入力に対しては、 上表の割増家賃(近傍同種家賃を勘案)が必要になるため金額を算定せず、エラーメッセージを表示します。

実際に計算してみる

家賃かんたん計算機で、収入・床面積・築年数・構造・地域区分・お住まいの市区町村を入力すると、この算定式に基づく家賃の概算がすぐにわかります。